サクラソウ
春を告げるように咲くサクラソウ。高い山ではこれから花が咲きます。
人の生活圏と重なって生息域を失ったサクラソウ。埼玉県の荒川河川敷で保護され、咲き揃う花。 ’05. 4.20.
実家から分けてもらった園芸種のサクラソウが、毎年花を咲かせます。長野県小諸市の自宅で、もう20年以上。 ’17. 4.27. 多くの園芸種。様々な色の花。プリムラと呼ばれています。
南アルプス深南部の池口岳(標高2392m)のクモイコザクラ。 ’10. 6.11. これでちょうど今頃。2000mを越える山でも春を迎えます。
北海道の日高山脈。特産種の多いアポイ岳(標高811m)のヒダカイワザクラ。アポイコザクラともいい、この周辺にしかありません。 ’07. 5.23.
これもアポイ岳で同じ日に撮ったエゾオオサクラソウ。こちらは北海道東部に広く分布します。
これもアポイ岳。サマニユキワリ。日高南部特産。葉は小さく細いけれどサクラソウタイプ。 ’07. 5.10.
浅間山のユキワリソウ。春の花らしい美しい名前。新潟ではオオミスミソウなどをユキワリソウと呼んでいたりします。日本固有ですが、北海道から九州まで、広く分布します。 ’97. 6.22.
東北の山に分布するヒナザクラ。南八甲田のもの。湿地などに群生して、小さくてかわいい。 ’00. 6.29.
東北・飯豊(いいで)連峰のハクサンコザクラ。 ’09. 8.20. 夏まで雪が残れば、花が秋めいてきても、サクラソウの仲間が咲き残っていたりします。
十勝連峰のエゾコザクラ。 ’00. 7.15. 小さな花ですが、一面に咲き揃うと見事。高い山でも雪が融ければすぐに咲き出すので、やはり春を告げる花。でもそれが7月になったり、8月になったり…
様々な園芸品種が出回っていて、自宅で育てている方も多いかもしれません。それだけ馴染みの花。自然のものも種類が多く、山野草だけでなく、高山植物もあってそれぞれ魅力的。小さくても目を惹きます。まだ出会っていない種類も多くあるのですが、よほど有力な情報でもないと、なかなか探せません。
あやめ
あやめの仲間も数多くあります。
イチハツ ’16. 4.18. 奈良県御所(ごせ)市 鴨津波(かもつわ)神社にて
あやめの中では最も早く咲くので一初。中国原産です。
アヤメ ’14. 7. 8. 長野・群馬県境 湯ノ丸高原にて
2000mを越える標高でも咲くので、そんな場所では遅く咲くことになります。外花被片の付け根が文目模様になるのでアヤメ。アヤメ科アヤメ属のアヤメという種。あやめというとどのカテゴリーを指すのか混乱します。一般的、文学的表現もあるし…
ヒオウギアヤメ ’00. 7.11. 北海道 夕張岳にて
アヤメでは大きく立ち上がる内花被片が、ヒオウギアヤメでは小さいので目立ちません。
ニオイアヤメ ’00. 6. 3. 長野県小諸市 自宅にて
近所でも見る白いアヤメ。名前も分からず育てていたのですが、南ヨーロッパ・南西アジア原産のニオイアヤメというものらしい…
こちらもヨーロッパ原産。よく見るし、名前も和名か、中国原産くらいに思ってしまうのですが…
オランダアヤメ ’13. 5.25. 小諸市 自宅にて
オランダで作られた園芸種。ダッチアイリスともいいます。ヨーロッパ原産の数種を交配したもの。奥に見えるのはジャーマンアイリス。ともに色々な花が作られています。
アフリカヒメアヤメ ’17. 4.16. 長野県御代田町にて
友達に教えられて道端で撮ったもの。小さくて花のつくりもアヤメとは違っています。でもアヤメ科。帰化植物の図鑑にあるので、これから増えるのかも…
カキツバタ ’11. 5. 1. 愛知県知立(ちりゅう)市にて
在原業平ゆかりの八橋(やつはし)のカキツバタ。杜若。燕子花。花で布を染めたので書付け花。その転訛。外花被片の付け根に白い斑紋があります。
ノハナショウブ ’09. 7.14. 長野県 蓼科・八子ヶ峰にて
外花被片の斑紋は黄色です。菖蒲と書いてあやめと読んだり、しょうぶと読んだり。また、ショウブはサトイモ科の植物で、菖蒲湯に使われます。
ノハナショウブを改良した古くからある園芸種。やはり外花被片の斑紋は黄色。名前はこちらが大元のようになっています。サトイモ科のショウブのような葉で、美しい花を咲かせるのでハナショウブ。意地悪で名前をつけたわけではないでしょうけれど、何せ万葉の頃まで遡らなければならなかったりもするわけで、厄介なことになっています。謎解きとして楽しめればいいのですが…
江戸時代に園芸ブームがあって、多くの園芸種が作られました。その後、海外からも輸入されて、様々なあやめが見られるようになっています。多くの人に愛される花、魅力的な花といえそうです。
ムシカリ
スイカズラ科のムシカリ。オオカメノキとも呼ばれ、山ではこれからの季節に白い花を咲かせます。その冬芽はまだ葉が残る頃に、既に準備されています。
’13. 11. 1. 福島・新潟県境 本名(ほんな)御神楽岳にて
’09. 3.12. 長野県 蓼科山にて(以下2枚の写真も)
ムシカリは裸芽。鞘に包まれていません。
既につぼみも。霜にやられる新芽もあるのに、こんな姿で冬を越します。
’00. 6. 6. 新潟・群馬県境 平標(たいらっぴょう)山にて(以下3枚も)
バルタン星人…。そんな連想をするのは私だけでしょうか。
葉にもつぼみにも変化が見られます。
既に葉を広げて…
’02. 5.25. 平標山にて
’00. 6. 6. 平標山にて
’02. 5.25. 平標山にて
ムシカリの冬芽から花が咲くまでを並べてみました。山は標高差があるので、同じ日でも様々な状態を見ることができます。
タンポポ
セイヨウタンポポ ’17. 4.21. 群馬県高崎市、小串にて
よく見ればきれいな花。旺盛な繁殖力で雑草、駆除の対象にもなっています。
セイヨウタンポポ ’07. 5.24. 北海道芽室町、芽室公園にて
在来種との交雑がかなり進んでいるんだとか…
でも、もうすっかり風物詩。いい被写体です。
推定樹齢1500年と言う薄根の大クワのそばで見つけた在来種。
カントウタンポポ ’14. 4.11. 群馬県下仁田町、御堂山にて
総苞外片が反り返るのがセイヨウタンポポ。
西日本では普通に見られるという白花のもの。
タンポポにも種類があります。フタマタタンポポは別属ですが、高山植物にもタンポポの仲間があります。
綿毛 ’07. 5.24. 芽室公園にて
次々に花を咲かせ、次々に実を結んで…
綿毛 ’17. 5.11. 長野県佐久市、閼伽流(あかる)山にて
でもいい被写体。機能性も兼ね備えた造形美、かな。
地面に座り込んで撮っていたら、陰から現れた小さな怪獣。綿毛の上を普通に歩いているし…。
カエデー新緑
富山・石川県境の大門山は標高1572mの三百名山。遅くまで雪が残ります。 ’13. 6. 8. やっと芽吹き。つぼみも見えます。ウリハダカエデのようです。
ウリハダカエデの花。’00. 6. 6. 新潟・群馬県境、標高1984mの平標(たいらっぴょう)山にて。
葉を広げようとしているのはエンコウカエデでしょうか。’98. 5. 4. 長野県筑北村の四阿屋(あずまや)山(標高1387m)にて。
ミネカエデの花。’00. 6.27. 秋田・岩手県境の八幡平(標高1614m)にて。
ハウチワカエデ。赤褐色の小さな点が垂れ下がって咲く花。カエデの花は目立ちませんが、それぞれ違った付き方をしています。’13. 6. 7. 岐阜県天生(あもう)湿原にて。
オオモミジか。’08. 5. 8. 滋賀県高島市、大荒比古神社にて。
’16. 6.24. 長野・群馬県境の一ノ字山(標高1336m)にて。樹種はコハウチワカエデか、オオイタヤメイゲツか…。
イロハモミジでしょうか。’13. 6.20. 富山県高岡市古城公園にて。
コハウチワカエデか。’97. 6.14. 長野・群馬県境の湯ノ丸高原にて。
’11. 8. 1. 栃木県の那須連峰にて。主峰・茶臼岳の標高は1915m。もう深緑というべきでしょうか。樹種はナンゴクミネカエデというものらしい。
紅葉が注目されますが、新緑も美しいカエデ。年毎に色づきに差が出る紅葉よりも撮り易いといえるでしょう。カエデに限らず穏やかな日の新緑は癒しともなり、さらに深く花や樹種に注目して見るのも楽しいと思います。
躑躅と石楠花
花は北へ、そして山へと咲き広がります。山のつつじで早く咲くのは…
ヒカゲツツジ 長野県 角間渓谷にて
名前通りのつつじの花。でも常緑で、小さいけれどしゃくなげのような葉。こうした種類があるとつつじとしゃくなげの境界は曖昧。それで(…と断定的に言い切る自信はないのですが、)ツツジ科ツツジ属にはしゃくなげが含まれます。
トウゴクミツバツツジ 南アルプス池口岳にて
木々が芽吹く頃に咲いてよく目立ちます。ミツバツツジ、サイコクミツバツツジ、コバノミツバツツジ…。種類が結構あります。
この花も早く咲きます。
雨に濡れるムラサキヤシオ 富山・岐阜県境 人形山にて
やや標高の高いところにもあって少し遅れて咲く印象なのですが…
木々の葉が開く頃に彩りを添えます。
高原の放牧地などに群生していて、やや野性味に欠ける気もするのですが…
九州の山に群生していて、見事に斜面を染めます。
明らかにしゃくなげ。でもつつじと区別できないらしい…
ハクサンシャクナゲ 長野県 湯ノ丸高原にて
アズマシャクナゲに遅れて咲きます。
エゾツツジ 北海道 十勝連峰にて
草のように見える矮小低木。でも花はしっかりつつじ。高山植物。高い山でこの花が咲くのは夏になってからです。