季樹歳彩-写真歳時記

きぎさいさい

あやめ

あやめの仲間も数多くあります。

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イチハツ  ’16. 4.18. 奈良県御所(ごせ)市 鴨津波(かもつわ)神社にて

あやめの中では最も早く咲くので一初。中国原産です。

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アヤメ  ’14. 7. 8. 長野・群馬県境 湯ノ丸高原にて

2000mを越える標高でも咲くので、そんな場所では遅く咲くことになります。外花被片の付け根が文目模様になるのでアヤメ。アヤメ科アヤメ属のアヤメという種。あやめというとどのカテゴリーを指すのか混乱します。一般的、文学的表現もあるし…

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ヒオウギアヤメ  ’00. 7.11. 北海道 夕張岳にて

アヤメでは大きく立ち上がる内花被片が、ヒオウギアヤメでは小さいので目立ちません。

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ニオイアヤメ  ’00. 6. 3. 長野県小諸市 自宅にて

近所でも見る白いアヤメ。名前も分からず育てていたのですが、南ヨーロッパ・南西アジア原産のニオイアヤメというものらしい…

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キショウブ  ’14. 5.25. 山梨県甲府市 酒折宮にて

こちらもヨーロッパ原産。よく見るし、名前も和名か、中国原産くらいに思ってしまうのですが…

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オランダアヤメ  ’13. 5.25. 小諸市 自宅にて

オランダで作られた園芸種。ダッチアイリスともいいます。ヨーロッパ原産の数種を交配したもの。奥に見えるのはジャーマンアイリス。ともに色々な花が作られています。

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アフリカヒメアヤメ  ’17. 4.16. 長野県御代田町にて

友達に教えられて道端で撮ったもの。小さくて花のつくりもアヤメとは違っています。でもアヤメ科。帰化植物の図鑑にあるので、これから増えるのかも…

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カキツバタ  ’11. 5. 1. 愛知県知立(ちりゅう)市にて

在原業平ゆかりの八橋(やつはし)カキツバタ。杜若。燕子花。花で布を染めたので書付け花。その転訛。外花被片の付け根に白い斑紋があります。

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ハナショウブ  ’09. 7.14. 長野県 蓼科・八子ヶ峰にて

外花被片の斑紋は黄色です。菖蒲と書いてあやめと読んだり、しょうぶと読んだり。また、ショウブはサトイモ科の植物で、菖蒲湯に使われます。

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ハナショウブ  ’15. 6.20. 埼玉県ときがわ町にて

ハナショウブを改良した古くからある園芸種。やはり外花被片の斑紋は黄色。名前はこちらが大元のようになっています。サトイモ科のショウブのような葉で、美しい花を咲かせるのでハナショウブ。意地悪で名前をつけたわけではないでしょうけれど、何せ万葉の頃まで遡らなければならなかったりもするわけで、厄介なことになっています。謎解きとして楽しめればいいのですが…

江戸時代に園芸ブームがあって、多くの園芸種が作られました。その後、海外からも輸入されて、様々なあやめが見られるようになっています。多くの人に愛される花、魅力的な花といえそうです。

ムシカリ

スイカズラ科のムシカリ。オオカメノキとも呼ばれ、山ではこれからの季節に白い花を咲かせます。その冬芽はまだ葉が残る頃に、既に準備されています。

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’13. 11. 1. 福島・新潟県境 本名(ほんな)御神楽岳にて

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’09. 3.12. 長野県 蓼科山にて(以下2枚の写真も)

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ムシカリは裸芽。鞘に包まれていません。

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既につぼみも。霜にやられる新芽もあるのに、こんな姿で冬を越します。

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’00. 6. 6. 新潟・群馬県境 平標(たいらっぴょう)山にて(以下3枚も)

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バルタン星人…。そんな連想をするのは私だけでしょうか。

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葉にもつぼみにも変化が見られます。

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既に葉を広げて…

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’02. 5.25. 平標山にて

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’00. 6. 6. 平標山にて

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’02. 5.25. 平標山にて

ムシカリの冬芽から花が咲くまでを並べてみました。山は標高差があるので、同じ日でも様々な状態を見ることができます。

タンポポ

f:id:notahiro:20170524082130j:plainセイヨウタンポポ  ’17. 4.21. 群馬県高崎市、小串にて

よく見ればきれいな花。旺盛な繁殖力で雑草、駆除の対象にもなっています。

f:id:notahiro:20170524082825j:plainセイヨウタンポポ  ’07. 5.24. 北海道芽室町、芽室公園にて

在来種との交雑がかなり進んでいるんだとか…

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セイヨウタンポポ  ’05. 4.30. 群馬県渋川市にて

でも、もうすっかり風物詩。いい被写体です。

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カントウタンポポ  ’03. 5. 3. 群馬県沼田市にて

推定樹齢1500年と言う薄根の大クワのそばで見つけた在来種。

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カントウタンポポ  ’14. 4.11. 群馬県下仁田町、御堂山にて

総苞外片が反り返るのがセイヨウタンポポ

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シロバナタンポポ  ’06. 4. 8. 島根県松江市にて

西日本では普通に見られるという白花のもの。

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フタマタタンポポ  ’12. 7.26. 北海道利尻山にて

タンポポにも種類があります。フタマタタンポポは別属ですが、高山植物にもタンポポの仲間があります。

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綿毛  ’07. 5.24. 芽室公園にて

次々に花を咲かせ、次々に実を結んで…

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綿毛  ’17. 5.11. 長野県佐久市、閼伽流(あかる)山にて

でもいい被写体。機能性も兼ね備えた造形美、かな。

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地面に座り込んで撮っていたら、陰から現れた小さな怪獣。綿毛の上を普通に歩いているし…。

カエデー新緑

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富山・石川県境の大門山は標高1572mの三百名山。遅くまで雪が残ります。 ’13. 6. 8. やっと芽吹き。つぼみも見えます。ウリハダカエデのようです。

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ウリハダカエデの花。’00. 6. 6. 新潟・群馬県境、標高1984mの平標(たいらっぴょう)山にて。

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葉を広げようとしているのはエンコウカエデでしょうか。’98. 5. 4. 長野県筑北村の四阿屋(あずまや)山(標高1387m)にて。

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ミネカエデの花。’00. 6.27. 秋田・岩手県境の八幡平(標高1614m)にて。

f:id:notahiro:20170522113319j:plainハウチワカエデ。赤褐色の小さな点が垂れ下がって咲く花。カエデの花は目立ちませんが、それぞれ違った付き方をしています。’13. 6. 7. 岐阜県天生(あもう)湿原にて。

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オオモミジか。’08. 5. 8. 滋賀県高島市、大荒比古神社にて。

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’16. 6.24. 長野・群馬県境の一ノ字山(標高1336m)にて。樹種はコハウチワカエデか、オオイタヤメイゲツか…。

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イロハモミジでしょうか。’13. 6.20. 富山県高岡市古城公園にて。

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コハウチワカエデか。’97. 6.14. 長野・群馬県境の湯ノ丸高原にて。

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’11. 8. 1. 栃木県の那須連峰にて。主峰・茶臼岳の標高は1915m。もう深緑というべきでしょうか。樹種はナンゴクミネカエデというものらしい。

紅葉が注目されますが、新緑も美しいカエデ。年毎に色づきに差が出る紅葉よりも撮り易いといえるでしょう。カエデに限らず穏やかな日の新緑は癒しともなり、さらに深く花や樹種に注目して見るのも楽しいと思います。

ジャーマンアイリス

以前、長野県青木村のアイリスの里で撮った写真です。

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500品種、4万株のジャーマンアイリス

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好みはあろうかと思いますが、…これだけの園芸品種を作り出す人間にも、驚嘆してしまいます。

躑躅と石楠花

花は北へ、そして山へと咲き広がります。山のつつじで早く咲くのは…

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ヒカゲツツジ  長野県 角間渓谷にて

名前通りのつつじの花。でも常緑で、小さいけれどしゃくなげのような葉。こうした種類があるとつつじとしゃくなげの境界は曖昧。それで(…と断定的に言い切る自信はないのですが、)ツツジツツジ属にはしゃくなげが含まれます。

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トウゴクミツバツツジ  南アルプス池口岳にて

木々が芽吹く頃に咲いてよく目立ちます。ミツバツツジ、サイコクミツバツツジ、コバノミツバツツジ…。種類が結構あります。

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アカヤシオ  群馬県 御堂山にて

この花も早く咲きます。

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雨に濡れるムラサキヤシオ  富山・岐阜県境 人形山にて

やや標高の高いところにもあって少し遅れて咲く印象なのですが…

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新緑とヤマツツジ  碓氷峠群馬県側 旧中仙道にて

木々の葉が開く頃に彩りを添えます。

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レンゲツツジ  群馬県 湯ノ丸高原 桟敷山にて

高原の放牧地などに群生していて、やや野性味に欠ける気もするのですが…

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ヤマキリシマ  大分県 九重山にて

九州の山に群生していて、見事に斜面を染めます。

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アズマシャクナゲ  長野・群馬県境 高峰高原にて

明らかにしゃくなげ。でもつつじと区別できないらしい…

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ハクサンシャクナゲ  長野県 湯ノ丸高原にて

アズマシャクナゲに遅れて咲きます。

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エゾツツジ  北海道 十勝連峰にて

草のように見える矮小低木。でも花はしっかりつつじ。高山植物。高い山でこの花が咲くのは夏になってからです。

今回紹介したのはツツジ科の中でもツツジ属の一部だけ。ほかにもツツジ科にはきれいな花がたくさんあります。

残雪の百名山

春の花々が次々に咲く頃、山々にはまだ多くの雪が残っていたりします。これまでに撮ったこの季節の日本百名山の写真10枚を選んでみました。

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岩手山 日の出  ’91. 5. 8.

雪残る車道を歩き、秋田駒ヶ岳の避難小屋で一夜を明かします。朝から霞む春の空。岩手山は見る角度によりさまざまな姿を見せてくれます。

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鳳凰山 朝焼け  ’90. 5.16.

5月の新雪が吹き上げる強風に舞います。南アルプス仙丈岳で迎える朝。左には地蔵岳オベリスク。中央が最高峰の観音岳。右に薬師岳鳳凰三山です。

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焼岳 朝焼け  ’97. 4.12.

天候が回復しても、朝から見事に春霞。西穂山荘からの焼岳。遠く乗鞍岳も見えています。

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剱岳 朝  ’96. 5.15.

北アルプス、種池。締まった残雪になっても残るシュカブラー風雪紋。岩に鎧われた剱岳も、たっぷりの雪をまとっています。

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鹿島槍ヶ岳  ’96. 5.15.

種池から爺ヶ岳へ登ります。威容を示す双耳峰の鹿島槍ヶ岳。現れた雷鳥は夏毛に変わりつつあります。

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鷲羽岳 ’92. 4.19.

ゴールデンウィークに向けて、小屋開けのための入山。双六小屋から双六岳に向かうとシュカブラの雪面。鷲羽岳の左奥に水晶岳も見えます。

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斜里岳 ’07. 5.21.

5月後半になっても北海道では雪が降ります。知床峠は通行止め。迂回したおかげで、新雪の斜里岳に出会います。

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苗場山 夕日  ’11. 4.14.

新潟・群馬県境の平標(たいらっぴょう)山にテントを張ります。名だたる豪雪地も、稜線の雪は締まって歩き易くなっています。苗場山に夕日が沈みます。

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月山 黄昏  ’89. 5.18.

東北、朝日連峰、竜門岳。冬に積もった雪は、融けたり、締まったり、崩れたり…。彼方に霞む月山。黄昏にわずかに色づきます。

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大山 月の出  ’10. 2.28.

見る場所ごとに姿を変える大山。西面は端正な姿。この年は雪が少なめだったでしょうか。思いがけず満月が昇ってきます。

大山はかなり季節がずれるのですが、残雪の百名山の写真10枚を、朝から夜へ、一日の時間を追うように並べてみました。撮影した時のことを思い出して、コメントも添えてみたのですが、いかがでしょうか。